飲食店の税務調査では何を見られる? 現金売上だけではないチェックポイント
飲食店は、税務調査で確認されやすい業種のひとつです。現金で代金を受け取る機会が多く、仕入・在庫・人件費など日々たくさんの取引が発生することが、その理由のひとつです。では、実際の税務調査では何を見られるのでしょうか。ポイントは、税務署は申告書や帳簿だけを見ているわけではないということです。
現金売上は、やはり重要
まず確認されやすいのが現金売上です。レジの記録と帳簿が一致しているか、売上代金が適切に入金されているか、不自然な取消処理がないか——こうした点が確認されます。最近はクレジットカードやQRコード決済、デリバリーサービスもあります。これらは決済事業者にも記録が残るため、POSや入金記録、会計帳簿を照らし合わせることで、売上全体の整合性を確認できます。現金・カード・QR決済・デリバリーを含めて「店の売上はいくらなのか」を一本につなげておくことが大切です。
仕入から売上を推測されることもある
飲食店ならではのポイントが、仕入から売上を見ることができることです。たとえば、ラーメン店が麺を1,000玉仕入れているのに、記録上500杯しか販売していなかったとしたらどうでしょう。残りは在庫として残っている、廃棄した、まかないに使った、サービスで提供した——きちんと理由があれば問題ありません。ただ、仕入量に対して申告された売上が不自然に少なければ、「売上の計上漏れがないか」という確認につながります。
ビール、米、麺、肉など、その店の主力商品であれば、仕入数量から販売数量を推定し、客数・客単価を経て売上のおおよその数字を考えることもできます。帳簿に書かれている数字だけでなく、その数字が実際のお店の営業状況と合っているかも重要になります。
棚卸やまかないも忘れずに
決算日や年末に残っている食材やお酒などは、一定のものについて棚卸が必要です。「もう代金を払ったから全部今年の経費」とは限りません。特に酒類や高額な食材を多く保有する店舗では、棚卸の金額も大きくなります。また、仕入れた食材を店主や家族が食べたり、従業員のまかないに使ったりすることもあります。これらも「店で使った食材だから問題ない」と一括りにはできません。仕入れたものが、売上・在庫・廃棄・まかないなど、最終的にどうなったのか。この流れが大きく崩れていないことが大切です。
ほかにも確認されるポイントはある
飲食店の税務調査はこの3点だけではありません。アルバイトの給与や源泉所得税、店主個人の支出が経費に混ざっていないか、内装工事や厨房設備の処理、消費税の計算なども確認されることがあります。ただ、すべてに共通する考え方があります。「この数字はどうしてこうなっているのか」を説明できる状態にしておくことです。
宿り木として
普段から数字が整っていれば、税務調査があったときにも、その数字がどう作られたのかを説明しやすくなります。そして何より、「今月は売上が増えたのに、なぜお金が残っていないのか」「最近、原価率が上がっていないか」といった経営上の変化にも気づきやすくなります。
税務調査のために経理をするのではなく、お店を長く続けるために数字を整える。その結果として、税務調査にも落ち着いて対応できる。宿り木税理士事務所では、そんな経理の形を一緒につくっていきたいと考えています。

代表 増渕 俊介 代表あいさつを見る